傘から人生哲学。
独楽さんお薦めが非常にズルかったので即買いした本です。
期待通りに、デザイン本的なハウツーに在らず、作品集に在らず。傘を作ることを生業にした飯田純久氏のお人柄や仕事への向かい方(人との在り方)が語られた本でした。百聞は一見に如かず。抜粋では掲載しきれない魅力が全ての章其々にあるのですが、一番読後感がよく感動したのは「おわりに」のページでした。
何故、傘をデザインするのか。傘を作るのか。飯田純久氏が感謝を綴る言葉の在り方から「この人の作品に恋する」所以を感じました。
せめて、本の構成となる目次だけでも。
各章ごと説明と写真が丁寧で親切で、傘の魅力を誘発させられます。
はじめに
第1章「傘」
・日傘/雨傘
・部品
Column1 傘ができるまで
・道具
第2章「布」
・植物
・食べ物
・幾何学
・縞
・雨模様
・生き物
・モチーフ
Column2 布ができるまで
・アトリエ
第3章「その他のデザイン」
・オリジナルグッズ
・ノベルティグッズ
・紙もの
・案内状
イイダ傘店 年表
おわりに
※テキスタイルデザインは選べないほどテーマごとに魅力で抜粋しきれなかったのですが、持ち手が動物のデザインはテキスタイルとのテーマ連動性もあって非常に好き。
恥ずかしながら自分は雨の日は極力外出したくないし、傘は百円ショップのビニル傘で済ませてしまうタイプでした。でも気づけば、両手に大荷物と子供を抱えた子育てピークは過ぎて。雨の日も(晴天の日も)傘を持って颯爽と出かけられる。マイ傘を空に広げて出かけるのも乙な楽しみになりそう。
服は、ノーブランド嗜好。靴は、山羊皮の黒を愛用。そこにこれからの人生、傘に1万円かけてお気に入りを、手元に持ちたく。そのように思いました。
青と緑のどちらともつかない新緑の葉ほど彩度はないけれどミントブルーに近い明るさを放つ「どちらかといえばグリーン」な布、モチーフは蛙、爬虫類が好き。(犬猫は大好きだけれどグッズとして持ち歩くという感覚はない)蛙は可愛いのは駄目。リアルすぎても駄目。それならば作れば良いのかもしれない。そのような着眼点は、なかった。その前に、欲しいもの候補はイイダ傘店の傘。雨モチーフの傘、動物手元の傘なら「ワニ」が欲しい。
そのような夢を膨らませつつ、敷居の高いこれからの仕事を無事終えた時、自分の為に、自分の傘を買おうと思った次第です。
あとがきより感想追加。
生きる存在証明はまず親に褒めてもらえること認めてもらえること。そこから友人や先生に、仲間や仕事に自分という存在の意義を見つけられた時、自分の殻を無理に破って頑張らなくても、自分の尺度で素直に生きて、結果が出るのだと思えた。
自分は、だから子供を褒める。
母として未熟だが、君たちの人生はそのままで明るいって、可能性を褒める。自分のように躓いて欲しくない。頑張れって言わない。そのままでいいよって、言う。
自分は、足りないものを補う為に何かを作りたいとずっと思っている。満たされない性分なのかもしれない。