夜手前の帰路にて
椅子に根っこが生える間際な夕刻、
突発の仕事滑り込み納品セーフ!
窓の外は、夜を連れてきた藍色の空が広がる・・どうしようか。出かける予定だったのに、随分遅くなってしまった。どすっぴんの顔そのままでコートを羽織って出る。
風雪が威張って、無慈悲に頬を吹き付けてくる。春の扉は開かないし、夕刻から夜は特に冷え込む、雨交じり雪が路面を凍らせ、ぐじぐじと歩く。おぉ、寒いよ!
目的は、長男の誕生日プレゼントのため。娘たちが毎月楽しみにしている「ちゃお」「なかよし」雑誌の発売日だから。「お願いね!片付けておくから!犬たちにご飯、上げておくから!」嬉々として見送る娘たちの顔を思い出しつつ。
最寄りのショッピングセンターに着く。自転車の陳列が増えていた。春もうすぐだなぁ、自転車の整備もしなきゃなぁと見やって、書店で目的の本を購入。若い女性の店員さん、凄く丁寧に紙袋2枚重ねて、娘たちの雑誌を丁寧に仕舞ってくれたの嬉しかった。いつもの人は、ビニルのショップ袋に詰め込むのだが、付録もかさ張る2冊分の雑誌は重く、ビニルの持ち手が千切れそうになるのだよ。ほんの少しだけの配慮なんだけど、紙袋ありがたい。これが、販売のプロだねぇ。
壺屋のケーキ屋前を通り過ぎて、気づく。
今日、ひな祭りじゃん!!!
やっぱりこの数日バタバタしていて、玄関飾りを変えようかと思ったのも一瞬のうちに忘れ去っていた。もう、ケーキも売れ切れている・・・どうしよ。何か娘どもに「女の子的幸せ」なお土産を、買いたい。
結局、向かいのDONGURIでイチゴワッフルケーキを買う。自分も都合良い時に女子祭り的なスイーツを・・・と思ったがやめた。そのぶん、イチゴを買って帰ろう。たっぷりイチゴを添えてやろう。
風がほんの少し緩くなっていて、
雪道を踏み歩きながら、思った。
「あぁ、幸せだなぁ」って。
雑誌とイチゴスイーツの入った紙袋と、
ワン子たちのトイレシーツ1ヶ月分を、
両手に抱えて帰る幸せ。
娘たちは笑顔で待っていて、
ワン子も尻尾千切れんばかりで甘えてくる。
それを思うと、
帰り道、
染みるように幸せだった。
長男は、本日もバイト。
笑顔で待とう。